Data


所在地 :大阪市北区

構造種別:木造3階建て
主要用途:住宅
延床面積:87.78㎡
竣工  :2006年2月

計画敷地は、大阪の長屋が密集している地域にある、2軒長屋のうちの1軒です。道路以外の三方は隣接する建物がギリギリまで迫っており、前面道路も2.7m と狭く、採光を得られる箇所がありません。幸い周囲は低層の建物であった為、唯一採光を得られる『そら』から各室に自然光を導くよう計画を行ないました。

 狭小敷地において、最大限の採光と空間の広がりを得る為に、まず、建物構成を「居住空間」と「階段室」とに明確に分断する事で、垂直方向に連続する「階段室」から光を導く計画としました。次に、「階段室」へ自然光を導く為、上部にトップライトを設け「光階段」とし更に、「光階段」から「居住空間」へ自然光を採り込む為に、間仕切り壁を無くし、木製縦格子による曖昧な境界としています。
 次に、各室は可能な限り間仕切壁を無くした一つのヴォリュームとし、空間に最大限の広がりを持たせています。可動間仕切りやブラインド・ロールスクリーンを用いる事で、最低限のプライバシーを確保出来る様にしています。
 また、身体に直に触れる機会の多い床は、各階とも無垢の木製フローリングとし、特に3階は、クリの無垢の木をうずしお加工したものを用いて、歩行時に触れる感触が心地よく、トップライトからの光と相俟って、癒しの空間に相応しいものとなっています。

 ファサードは朱色のリシン吹付としており、中央に黒色のアルミ製格子・建具を用いる事で、ファサードデザインを引き締めています。さらに、上部へ視線を誘導し『そら』への意識を誘発する為に、ラインを垂直方向にまとめています。
 これらの視覚空間と意識空間の相乗効果により、狭小密集市街地にみられる鬱蒼とした雰囲気は払拭され、狭いながらも広がりのある空間を創出しています。